歯科医師が教える、インプラントの素材とその種類とは
目次
・インプラントの基本構造について
・インプラントの形状と種類
-ティッシュレベルインプラント
-ボーンレベルインプラント
・インプラントの材質「チタン」について
・代表的なインプラントメーカー
-アストラテックインプラント
-ストローマンインプラント
-3iインプラント
・まとめ:インプラントの素材や形状の種類、その安全性について
インプラントの基本構造について
インプラントの基本構造はスクリュー上の、
①「インプラントに埋まっている部分」
②「その上の結合組織や粘膜に接している部分」
③「被せを連結している3つの部分」
に分かれます。
このうち、
①と②が一体化しているものを「ティッシュレベルインプラント」
①と②が2つのパーツに分かれているものを「ボーンレベルインプラント」
と言います。
インプラントの形状と種類
ティッシュレベルインプラント
主に臼歯部に使われるインプラントで(前歯部に使うこともある)1回法で植立されます。
長期的に安定した予後が報告されています。
ボーンレベルインプラント
インプラントの本体を骨縁下に植立して、粘膜を縫合してインプラントと骨が結合してから二次手術を行う、2回法で主に植立されます。
骨を造成する場合や、前歯などの審美領域では補綴の自由度が高いので主にこの「ボーンレベルインプラント」が使われます。
ボーンレベルインプラントにヒーリングアバットメントを取り付けて1回法で行うこともあります。
インプラントの材質「チタン」について
インプラントに使われるチタンは主に純チタンです。
純チタンの表面は酸化チタンの膜に強固に覆われ、その酸化チタンの生体親和性が高く骨と結合するわけです。
最近ではチタンの中でも強度の高いグレード3や4が使われる傾向にあります。
またグレード2の純チタンを冷間加工して強度を上げて使っているメーカーもあります。
一部のインプラントやアバットメントにはより強度の高いTi-6Al-4Vなどのチタン合金も使われています。
代表的なインプラントメーカー
アストラテックインプラント
もともとはスウェーデンのアストラテック社が開発したインプラントで長期的な安定性と研究開発力で定評があります。
形状的にはインプラント本体とアバットメントを連結する部分がコニカルシールという円錐状に連結されて微小動揺と微小漏洩を防ぎ、インプラント頸部のマイクロスレッドが荷重と応力を分配するために辺縁骨の吸収が少ないとされています。
またアストラは「コネクティブ・カウンター」と呼んでいますが、いわゆるプラットフォームスイッチングになっており、表面性状は適度に粗いオッセオスピードという表面にフッ化処理を行いさらにナノ構造を作り出しています。
世界最大級のメーカーであるデンツプライシロナが買収したことにより、アトランティスなどのCADCAMアバットメントやSimplantというインプラント手術前に行う3Dコンピューターシミュレーションシステムも統合されることになりました。
参考:デンツプライシロナ
ストローマンインプラント
スイスのベルン大学とストローマン研究所との協力で開発されたインプラントで、当初はITIインプラントという名前で供給されていましたが、現在はストローマンインプラントと呼ばれています。
1回法のインプラントが中心で、SLA-activeと呼ばれる表面性状が特長でインプラント体と骨との結合が早いと言われています。
また最近ではRoxolidという強度に優れたジルコニアチタン合金も開発されています。
参考:ストローマン
3iインプラント
ジンマー・バイオメット社のインプラントでオッセオタイトという表面性状とプラットフォームスイッチングが特長です。
様々な形状のインプラントのバリエーションがあり最近ではEncodeというヒーリングアバットメントに、様々な情報を入れておいてそれを光学印象することにより、アバットメントと上部構造を同時に作成できるようになっています。
これも世界中で広く使われているインプラントと言えます。
参考:ジンマー・バイオメット
まとめ:インプラントの素材や形状の種類、その安全性について
インプラントの素材は、様々なバリエーションや表面性状に違いはありますが、主に純チタンが主体と思っていいと思います。
過去50年間の臨床応用の中でチタンは骨と結合して安定した成績を残しています。
形状はスクリュータイプで少しテーパーのあるものが中心になっています。
正しく応用されたインプラントは安全で極めて有用なものと言えます。
当、岡山インプラント支援相談室では、インプラント治療に関する正しい情報を発信し、患者さまのお悩み、セカンドオピニオンのご相談にも対応しておりますので、どなたでもお気軽にお問合せください。